ネギングの基本思想とその分類

ナンパ・誘惑の基本技術であるネギングについて改めて考えてみました。

 

 

(1) ネギングとは

ネギングとは、相手に対して、一見すると否定的な振る舞いを行うことによって相手の優位な地位に揺さぶりをかける行為のことをいいます。

 

細かい定義や概念は人によって異なるかもしれないけれども、①自分が優位性や主導権を握ることを目的としているといった点と、②あえて否定的な振る舞いをすることで相手の精神的な動揺や好奇心を誘うといった2点が公約数的なネギングの要素ではないかと思われます。

 

ネギングは、本来格上の相手の地位を引きずりおろすためのテクニックだけれども、同等あるいは格下相手でも、適度なネギングは円滑なコミュニケーションの運びのリズムを作り出す小道具として欠かせません。

 

他方で、明らかな格上に対しては、使うべきネギングも比較的強いものが必要になります。

 

思うに、ネギングにも様々な種類や強弱があるはずですが、これまでナンパクラスタでは特に分類・区別することもなくなんとなく「ネギング」と一緒くたに語られてきたきらいがあります。

 

ネギングの分類については人によっていろんな切り口があるとは思うけれども、僕はシンプルに強度で分類して、場面や相手の優位性に応じて緩やかに使い分けており、単にざっくり「ネギング」を捉えるよりも、強弱によってネギングの種類を切り分けて概念整理し、目的や相手によって意識的に使い分ける方がより効果的なネギングを繰り出せると実感したことから本稿を書いてみた次第です。

 

僕のネギングの整理としては、弱い方から強い方に向かって「①からかい < ②無関心 < ③ディスリ」と3つに分けています。

 

(2) ①からかい

 

①の「からかい」とは、相手の言動におかしなところやつっこみどころが出て来た際に、その部分をすかさずにソフトに突っつく行為だといえます。

 

あくまで軽く小突く程度のイメージで、この強度が強まると③のディスリになります。

 

連れ出しやアポを取り付けるために相手から強引に興味を引き出す③ディスりとは異なり、①からかいは、LINEゲット後の初アポや、連れ出した後の飲み屋などのシチュエーションのように、相手からは多少興味は持たれているけれども、まだラポールが形成されてない段階、つまり、ACSフェーズでいうところのCの段階で使うのが効果的です。

 

ほんとにさりげないソフトないじりで、たとえば、相手が何か言おうとして噛んでしまった際、あるいは常識的な知識が間違ってた際、相手の出身が田舎の方だったときなどのように、これらを全て拾って軽くいじるようなイメージです。


軽く小突く程度のネギングではありますが、何度も何度も繰り返すことがポイントです(もちろん相手が笑ってることが前提です)。


これを繰り返していくうちに、「おかしなことを言う人(いわゆるボケ役)」と「それを正す人(ツッコミ役)」の図式が二当事者の間に気づかない内に徐々に形成されていきます。

冒頭で書いた通り、ネギングの目的は主導権を把握することにありますが、①のからかいの特徴としては、相手が気付かない内に自然と主導権はこちら側に移譲する点だといえます。

 

また、からかいは、それがからかいであることが相手にきちんと認識されなければいけません。中途半端なからかいや、からかいとわかりにくいシュールなからかいもよくないでしょう。

 

というのも、慣れてない人のからかいは、初対面の相手からすると、その人が言っていることが本気なのか冗談でなのかわからないこともあるからです。

そして連続するからかいは、相手と自分との間にボケとツッコミの主従関係・役割分担の合意形成をするためのある種の儀式であり、儀式であるからこそからかう者の立場とからかわれる者の立場が誰からみてもわかるくらいに浮き彫りにされなければならないからです(儀式は常におおげさです)。少しくらい芝居がかっててもいいでしょう。

 

僕のイメージとしては、さんまさんがゲストの天然女性タレントが変なことを口走った時に、すかさずからかいまじりの突っ込みを入れる感じです。さんまさんのリズムやノリをインストールしてトークしています(さんまさんの天才的な機転が再現できないのは当然だけれども、1対1の飲みでは高度なものは要求されないからなんとかなります)。

 

こちらが、あたかも芸人の突っ込み担当のように相手をからかえば、相手も自然と「ボケ」の役割を引き受けてくれます。

 

からかいの真骨頂は相手に気づかれずに、いつのまにか役割分担と主導権の委譲を済ませられる点にあり、からかいを有効に繰り出せば、1〜2時間の飲みが終わって店を出るころには、しっかりと上下関係ができて「次は~へ行こう」と誘い出すのが非常に容易になります。

 

①はとても使い勝手がいいので、僕のネギングの7割以上はこれに当たります。後で少し説明する「傾聴」の技術と組み合わせることで、ほとんど①で足ります。

 

(3) ②無関心

 

分類②は無関心です。読んだ字のごとく、関心を抱かない(そう見せる振る舞いをとる)態度のことです。

 

これは、相手の女性がうんざりするようなマウンティングをしてきたときに有効な防御的技術として使っています。防御技術ではありますが、結果的に相手の自分に対する興味を引き出すことが可能な攻防一体の技とも言えます。

 

最近は少し歳をとったせいか(といってもまだ20代だけれども)、マウンティングされることもほとんどないですが、学生時代の若い頃はよく相手のマウンティングにあっていました。

 

典型例は、「私はしょっちゅう街で声かけられる」「雑誌の~にモデルとして出たことがある」「友達に有名人の~がいる」「私の家族は医者だ」とかよくあるやつです(それにしても、友達に有名人がいることを自慢しても自分の価値を下げることは明らかなのに、自慢する人が後を絶たないのは理解に苦しみますね、ほんと)。

 

今でこそ一笑に付して終わるような上記のような他愛もないマウンティングも、当時非モテにどっぷりつかっていた僕にはかなり効果てきめんで、「そうだよね、かわいいしね」とか「すごい経歴のご家庭だね」とか、恋愛工学上明らかに誤ったリアクションをとっていました。

 

僕の中でマウンティングに対する対処法を確立させたのは、「ザ・ゲーム」を読んでネギングを知ってからのことです。

ネギングを少し派生させて、相手のマウンティングを「いなす」ことを覚えました。つまり、相手のマウンティングの対処法として、相手の発言に対して“無関心”を装うことで、相手の矛先の行く場を無くすといった感じです。


実際、当初は単に防御的な意味合いで使っていたのですが、効き目は単なる防御に留まることなく、それ以上に相手の食い付きを上げる効果があると実感しました。

 

上記のような女性の自慢やマウンティングが始まったら、興味なさそうに「ふ~ん。」とつまらなそうにして、あるいはさらにちょい強めの無関心態度としてあくびをかみ殺すしぐさをするなどして、「それよりさ、・・・」と別の話題を切り出したり、「君って幼稚でつまらないこと話すんだね」といった雰囲気の不敵な笑みを浮かべて沈黙を作り、自慢話をした相手を不安と後悔に追い込むと良いでしょう。

 

無関心を振舞う行為は、相手に対してこちらから積極的に何か働きかけるわけではないけれども、僕は②をネギングと位置付けて、上記のような場面に遭遇した際には、ひとつの処理手順として意識的に使用してきました。

 

①のからかいとは、使いどころも、使う相手も違うけれど、主導権を把握するといった目的や効果は同じです。

そして、この①②の相違点をきちんと理解するのは意外と大事なんじゃないかと思います。

 

  

(4) ③ディスリ

①②よりも強いネギング。

 

これは特に格上の相手と戦う際や、ACSでいうA段階に必要となる技術です。

 

ただ、ディスリといっても 当然本気で相手を非難・批判をするわけじゃなありません。そんなことしても二人の距離は縮まりません。

 

憎い相手を奈落の底に突き落とすために悪口を言うのではなく、ネギングはあくまで自分が主導権を握るための技術であるといった基本思想に立ち返ることが大事です。

 

多少きつめのことを言っても、語尾に(笑)がついているようなイメージを持つと良いでしょう。

 

相手のマスカラが取れていれば、「目にゴミついてるよ(笑)」とか、自分より年上だったら「すげ~大人っぽいから歳の差感じるわ。歳の差っていうかジェネレーションギャップかな?(笑)」、「服の模様かと思ったらそれ単なる毛玉だったわ(笑)」みたいに、多少の無礼を承知で相手の感情を刺激するも、あくまで冗談めかした感じにするのがコツです。

 

ここで、刺激するスイッチは「好奇心」であって、間違っても「怒り」を押してはいけないし、①のからかいと違って何度も多用するものでもありません。

 

(5) まとめ

 

以上が、僕の考えるネギングの分類や機能でした。 

 

簡単に整理すると、①と③はこちらから能動的にせめて行きますが、その強さが大きく違います。

 

ゆえに、①のからかいはジャブのように繰り返し打つ必要があります。他方で、③は強すぎるので、ASCのA段階で好奇心を引き出すために最低限の回数で足ります。

 

あくまで相手の自分に対する好奇心を刺激するための技術であり、①のからかいが徐々に主導権を委譲するのと比べて、③は荒技であることは間違いないから、用法・用量には細心の注意を払う必要があるのです。

 

②は相手の攻撃に対するカウンターのような位置づけです。あくまで相手がかかってきたときに返す技であって、こちらから積極的に繰り出すものではありません。程度としても、③ほど強くはなく、①ほど穏やかでもありません。

 

このようにネギングにも種類や程度があり、状況や相手によって使い分けを意識することは有益なんじゃないかと思います。

 

次回は、僕がネギングに対置する技術と考える「傾聴」というカウンセリングの技法について書こうと思います。

 

予告的に言うと、傾聴は、ネギングと併せて使うことで爆発的な効果を生み出し、ネギングと傾聴は、こと女の子を口説く場面においては車の両輪に当たるものだと思います。

 

もっとも、傾聴はそれ自体で相手を引き寄せる強い力を持ち、実際、僕は非モテだった学生時代に傾聴の技術だけでいろんな女の子と寝ることに成功しました。非モテでも実践可能です。

 

このネギングと傾聴を上手に組み合わせることで、誘惑のコミュニケーションを次のステップに押し上げることができるんじゃないかと思います。

 

それではまた。